認証企業事例紹介

お客様と地域の「健康」を創造する株式会社 フレスタホールディングス(広島県広島市)

フレスタグループは1887年に創業、1950年代より広島県を中心に中国地方で食品スーパーマーケットチェーンを展開してきた。顧客の「健康的なライフスタイルの実現」のために、最適な商品・サービスの創造提案で貢献し続ける「正直」な企業グループをめざすことを企業理念に掲げ、街の健康をリードする「フレスタウン構想」に基づき、地域全体の健康増進にも取り組んでいる。「DBJ健康格付」においては、3年連続最高ランクを取得。グループ人事総務部の責任者を兼ね、グループ従業員が一体となった健康経営を推進する渡辺裕治氏に、様々な活動と今後の展望をうかがった。

「健康」のコンセプトは、
ずっと追い求めてきたことの延長上にあった

健康経営格付でもご評価させていただきましたが、貴社は健康経営においてトップランナーだと感じています。貴社が健康経営に注力された背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

弊社は明治20年、今も本社のある横川町で菓子・煙草の販売店として創業しました。昭和に入る頃には青果なども扱っていたようですが、店舗は高架線の下で、巻き上がる粉塵を拭き取ることが重要な仕事であったことから、当時から衛生面に関して気を使っていたそうです。戦後に会社組織となり、初めてスーパーマーケットを立ち上げたのが昭和35年。それからずっとこの広島県を中心として、品質重視の「商品経営」を貫いてきました。
2006年に、次世代のボードメンバーとして集められた中堅社員たちが中心となって現在の企業理念をつくりました。その時のメンバーがいま、経営の中枢を担っています。そこで「お客さまの笑顔」や「品質」「安心」という言葉が盛り込まれたのですが、それらはいずれも現場で受け継がれてきた考えであり、ごく自然に浸透していきました。そして2014年に街の健康をリードする「フレスタウン構想」に基づき、健康に関する商品の選択肢が最も多い、最上級の健康提案企業「ヘルシストスーパーマーケット」というコンセプトを打ち出し、本格的な健康経営がスタートします。食事と運動に関するエッセンスを積極的に経営に取り込んで、お客様と従業員を健康にできる企業をめざそうという取り組みです。そしてこれもまた、ほとんどの従業員には違和感なく受け止められました。
「健康経営」というテーマを強引に掲げたわけではなく、みんながずっと追い求めてきたことの延長上にあったのだと思います。

従業員からお客様、そして地域へと「健康」をつなげる

具体的には、どのような取り組みを始めましたか?

当時私は経営企画部におり、新たなボードメンバーと一緒に年度ごとの実行計画にあたりました。最初に行ったのが「健康宣言」。全従業員が自身の健康に関する目標を宣言して、お客さまにも見てもらうというものです。「フルマラソンに出る」「ヨーグルトを毎日摂る」といったものですが、宣言をしたことでみんながそれぞれ自分事にできる、自分の認識をするという意味では一番効果がありました。また、お店でお客様から進捗や効果を何度も聞かれるから、本人たちも本気で取り組まざるを得なくなって予想外の効果が生まれました。
お客様に対しては、「健康Bimi」という健康に配慮したPB商品をつくりました。カロリーや塩分の少ない商品をお客様が選択できるような基準設定です。また、健康にやさしいレシピの提案や、健康的な商品に「スマイレージポイント」を付与するなどの促進活動。さらには4000人規模が参加する「リレーマラソン」を毎年開催するなど、体力づくりと健康増進に繋がるような企画も積極的に行っています。

地域に向けた取り組みも積極的に行われていますね?

弊社の場合、61店舗61通りというお店のつくり方をしています。つまり標準化によって競争力を高めるのではなく、それぞれの地域のお客様が求めているものをカタチにしていくことで成長してきました。ですので、「健康」を軸に地域貢献することもまた必然的なテーマで、「地域の健康寿命を延ばす」ことがいま全店の目標となっています。
具体的には、店舗で体操教室を開いてお客様と従業員が一緒に楽しく運動する取り組みであったり、地元の医師会と連携して店舗に健診車をつけてもらいお客様がお買い物のついでに健診を受けられるようにしたり、といったことを各店が独自に行っています。私たちの最終目標は「街づくり」なので、行政や地元のスポーツジム、病院などと連携して様々な場や機会を創出していくことが今後増えてくると思います。

店づくりを支えるのは、従業員一人ひとりの自立性

健康経営の取り組みが、企業価値の向上につながっていることがよくわかります。
人事総務の面からは、どのようなアプローチをされているのでしょうか?

健康経営に限らず、働き方改革や障がい者雇用などのダイバーシティの推進、育児介護従事者へのサポートといった職場環境の整備、働きがいを向上させる施策などにも力を入れてきました。業界内ではおそらく高い水準にあるのではないでしょうか。ただ、どんな優れた制度や環境を用意しても、時間が経てば従業員がそれに慣れて当たり前のものとなっていくので、なかなかモチベーションにつなげるのは難しいなという実感です。
社長からはよく「守りに入るな。人事もマーケティングをしろ」と言われるので、一年の半分くらいは各店を回り従業員の面談をしています。そうすると、個人よりも店舗やチーム単位でモチベーションの差異が出ていることに気づきます。今は正社員で個人評価というのがなくて、そのチームの成果が本人の評価。チームをうまくやりくりできる人が、うちが求めている人であり、入社したタイミングからチームをどうするかを考えてもらいます。小さいチームで小さなシナジーをいっぱい起こさせる、それが集合体となったら一定の効果が出るのではないかと考えています。メンバーが自立的に考え行動しているかどうかが、売場の雰囲気にはっきりと表れる。地域に合った店づくりを支えるのは、従業員一人ひとりの自立性に他なりません。

健康経営を打ち出してから2年間、それらを訴求するCMを展開しました。日々の売上には直結しないけれど、社会のインフラであるスーパーマーケットの価値を底上げしたいという想いがありました。これで最も効果を上げたのが、新卒採用です。学生の動機は、おおむね「健康経営」「働き方改革」「街づくり」の3つ。最初から高いモチベーションを持って入社してくるので、仕事が作業ではなくなるんですね。これもまた、健康経営が生み出した大きな成果だと思いました。
いま「エンゲージメント経営」の導入に向けて、様々な施策を開始したところです。健康経営をさらに推進する意味でも、うまく軌道に乗せていけたらと考えています。

健康経営に終わりはない。これからも組織を揺らし続ける

今後の課題について、お聞かせください。

先ほどの人事制度の話とも共通するのですが、「健康経営」という花火をドンと打ち上げて、CMでブランディングして、商品がある程度そろってお客様の認知も上がってくると、いつしかそれが“普通”になってしまいます。効果を上げ続けるには、どんどん次の手をうっていかねばなりません。もちろん企画やイベントも増やしていくものの、しっかりとしたエビデンスが必要だと考えました。いま広島大学と組んで、どのような働き方が健康に影響するのかといった実験・検証を進めています。上辺だけではないデータヘルスの確立が次の一手になればと思います。

最後に、私どもDBJに期待されておられることがあれば、お願いいたします。

格付評価の際に、弊社の業界内でのポジションなど客観的な分析結果をいつもフィードバックいただけるので、それを従業員たちと共有しています。また他社の取り組みなどの情報もいただくことで、ブラッシュアップにもつながっています。弊社の健康経営が自己満足に陥いることなく今後も発展していくためには、このような第三者からの刺激がとても重要です。今後も皆さんのお力を借りながら、組織を揺らし続けていきたいと思います。

フレスタウン:食を通じた健康寿命延伸を目指すフレスタは、「ココロ、カラダに、スマイル」というキャッチコピーを掲げ、健康の促進から街の活性化を最終目的としています。食べることから元気に生活できる街づくりを目指しています。

(聞き手:サステナビリティ企画部長 木村 晋)
※役職等は取材当時(2019年12月)のものです。