環境配慮と企業成長の両立を通じて
サステナブルな社会をデザインします

概要

環境格付融資は、環境経営への取り組みが優れた企業を評価・選定する「環境格付」の手法を導入した世界で初めての融資メニューです。

環境クリーニングの実施

環境格付のあゆみ

環境格付融資のこれまでのあゆみをご紹介します。

内は「主な動き」となります。

主な動き
環境格付融資の動向
  • 国連環境計画 金融イニシアチブ(UNEP FI)東京会議(金融と環境に関する国際会議) 開催
    • DBJ共催、「東京原則」 採択
2003
  • 制度等ISO14001:2004 発行(国際標準化機構:ISO)
    • 要求事項の明確化、等に係る改訂
  • 「DBJ環境格付融資制度」の開始
    • 「経営全般」(環境マネジメント体制、情報開示、等)、「事業関連」(設備投資、環境配慮製品、サプライチェーン、等)、「パフォーマンス関連事項」(環境パフォーマンス指標の改善、等)の3パートから企業の環境経営を評価
2004
  • 京都議定書 発行
2005
  • 石綿(アスベスト)による健康被害の救済に関する法律 制定
  • 責任投資原則 公表
  • 制度等GRI G3 発行(GRI)
  • 設問改訂生物多様性に関する設問の新設
  • 環境格付の累計件数が100件に到達
2006
  • 制度等環境報告ガイドライン 2007年版 発行(環境省)
2007
  • 生物多様性基本法 制定
2008
  • 設問改訂リスクマネジメントに関する設問の拡充(事業継続計画(BCP)、労働安全衛生)
2009
  • CDPが「水セキュリティ」に関する開示を開始
  • 米国の金融規制改革法(ドッド・フランク法)の成立
    • 紛争鉱物に関する規制
  • 名古屋議定書 採択(生物多様性条約第10回締約国会議:COP10)
  • 制度等ISO26000 発行(ISO)
2010
  • 制度等企業のバリューチェーン(Scope3)の算定及び報告に関する基準 発行(GHGプロトコルイニシアチブ)
    • サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の算定に関する基準の制定
  • 制度等国連「ビジネスと人権に関する指導原則」採択
  • 設問改訂CSRに関する設問の拡充(障がい者雇用、ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、従業員の健康配慮)
  • 環境格付の累計件数が300件に到達
2011
  • CDPが「フォレスト」に関する開示を開始
  • 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 開始
  • 「生物多様性国家戦略2012-2020」閣議決定
  • 制度等環境報告ガイドライン 2012年版 発行(環境省)
  • 設問改訂サプライチェーンに関する設問の拡充(スコープ3排出量の把握、等)
2012
  • 制度等GRI G4 発行(GRI)
  • 制度等国際統合報告フレームワーク 発行(国際統合報告評議会:IIRC)
    • マテリアリティの概念の登場
  • 設問改訂生物多様性に関する設問拡充、サプライチェーンに関する設問の評価基準見直し、等
2013
  • SBTイニシアチブ 発足
  • RE100 発足
  • 制度等日本版スチュワードシップ・コード 発行(金融庁)
  • 設問改訂(大幅改訂)
    • マテリアリティの概念導入、マテリアリティに紐付くKPI評価
    • 研究開発のビジョン及び体制、等に係る設問を新設
2014
  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が責任投資原則(PRI)に署名
  • 持続可能な開発目標(SDGs) 採択(国連サミット)
  • パリ協定 採択(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議:COP21)
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) 設立
  • 制度等ISO14001:2015 発行(ISO)
    • 戦略的環境管理、リーダーシップ、ライフサイクル思考、コミュニケーション、等に係る改訂
  • 制度等コーポレートガバナンス・コード 発行(東京証券取引所)
  • 設問改訂マネジメントレビュー実施、CSR調達ガイドライン策定、等に係る設問を新設
  • 環境格付の累計件数が500件に到達
  • 環境格付を資金使途とするDBJサステナビリティボンド(SRI債)を発行(第1回サステナブルファイナンス大賞を受賞)
2015
  • 制度等GRI スタンダード 発行(GRI)
  • 設問改訂温室効果ガス排出削減の超長期目標の設定、等に係る設問を新設
2016
  • TCFD提言 公表
  • 制度等価値協創ガイダンス 発行(経済産業省)
  • 設問改訂ステークホルダーの特定、等に係る設問を新設
2017
  • 1.5℃特別報告書 発行(気候変動に関する政府間パネル:IPCC)
  • 制度等環境報告ガイドライン 2018年版 発行(環境省)
  • 制度等コーポレートガバナンス・コード 2018年6月版 発行(東京証券取引所)
  • 制度等SASBスタンダード 発行(サステナビリティ会計基準審議会:SASB)
  • 制度等TCFDガイダンス 発行(経済産業省)
  • 設問改訂(大幅改訂)
    • 「サステナビリティ」パートを新設、中長期的な事業環境や社会課題の変化を踏まえた戦略やその実現のための取り組み(イノベーション、人材開発、等)を評価
    • 業種版評価シートを廃止、ビジネスモデルに応じて組み替え可能な設問パターンを用意
2018
  • TCFDコンソーシアム 設立
  • 制度等グリーン投資ガイダンス 発行(TCFDコンソーシアム)
  • 設問改訂マテリアリティとKPIとの結び付きを明確化
2019
  • IIRC、SASB、GRIなどの5団体が「包括的な企業報告」の実現を目指す共同声明を発表
  • 菅政権発足、所信表明演説にて2050年のカーボンニュートラルを宣言
  • 制度等タクソノミ最終報告書 発行(欧州委員会:EU)
  • 制度等ステークホルダー資本主義測定指標 発行(世界経済フォーラム:WEF)
  • 制度等「ビジネスと人権」に関する行動計画策定
  • 設問改訂(大幅改訂)
    • 「サステナビリティ」パートを長期的な環境取り組みを評価する体系に再構成
    • 環境長期ビジョン、TCFD対応、等に係る設問を新設
2020
  • IIRCとSASBの合併により価値報告財団(VRF)が発足
  • 制度等コーポレートガバナンス・コード 2021年6月版 発行(東京証券取引所)
    • プライム市場におけるTCFD対応の実質義務化
    • サステナビリティに関する開示要請の強化
  • 設問改訂社内カーボンプライシング制度、サステナビリティの専門性を有する取締役の選任、環境長期ビジョンの実現に向けた事業ポートフォリオ変更、等に係る設問を新設
2021
  • 「昆明・モントリオール生物多様性枠組」採択
  • 設問改訂
    • サステナビリティに関するガバナンスを問う設問を新設(サステナビリティ成果と役員報酬の連動等)
    • 脱炭素に向けた移行計画の策定状況を問う設問を変更
    • 事業活動における自然資本・生物多様性との関係性について、サプライチェーン全体での把握状況を問う設問に変更
2022
  • 制度等「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正
    • 有価証券報告書にて「サステナビリティに関する考え方及び取組」の開示要請
  • 「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定
  • 制度等ISSBがサステナビリティ情報開示基準を策定し、S1基準(サステナビリティ関連)とS2基準(気候関連)の初版を公表
  • 設問改訂
    • 脱炭素に関する設問を新設・変更(Scope3の算出方法、TCFD提言に基づくシナリオ分析結果の影響度の開示、等)
    • 事業活動と自然資本・生物多様性との関係性把握に関する設問を変更(LEAPアプローチの活用、等)
2023

(1)開発の経緯

DBJは、前身である政府金融機関(日本開発銀行・北海道東北開発公庫)であった時代から、環境との関わりは深く、1960年代の公害対策を皮切りに、これまで40年以上にわたり、環境対策事業に対して累計3兆円以上の投融資を行ってきました。2001年6月には、日本の金融機関として初めて国連環境計画(UNEP)の金融機関声明に署名し、2003年10月にアジア初開催となる「金融と環境に関する国際会議」を東京で共催しています。

企業の環境対策は、設備投資や対策費用といったコストは比較的容易に把握できるのに対して、効果を明確に把握することは困難ですが、環境リスクが発現した場合、企業のブランド価値の毀損や企業価値の低下は避けられず、回復には多大な時間とコストを要します。また、長期的な視点に立つと、環境負荷を低減しながら、環境に配慮した製品やサービスの開発に努めている企業は潜在的な成長力を有していると考えられます。一方、当時の金融市場に環境経営に関する情報が十分に反映されているとは、まだ言いがたい状況にありました。

そこで、DBJでは、環境経営の取り組みに優れた企業や今後取り組みを推進していくことを考えている企業に対し、金融技術を活かした支援を行っていきたいと考え、また、「金融と環境に関する国際会議」で採択された東京原則(環境に資する金融商品の開発)を具現化する金融商品として「DBJ環境格付融資」を2004年から開始しました。

(2)評価体系の変遷

2004年の運用開始後、環境格付の評価体系及び評価項目は、企業や有識者との対話で得られた知見や国際的な環境・CSRの潮流を踏まえながら、毎年改定を重ねています。
2014年には、財務情報と非財務情報を統合的に開示する国際統合報告フレームワークの公表やサステナビリティ報告の主要ガイドラインであるGRIガイドラインの改定等も背景に、評価体系を大幅に見直しました。マテリアリティやKPIといった概念を導入し、全社一律網羅的な項目で評価するのではなく、企業との対話を通じ、主要事業や企業価値向上と密接に関連する重要な環境側面(マテリアリティ)を特定したうえで、持続的な成長に資する環境経営を総合的に評価することを目指しています。
さらに2018年度は、気候変動を始めとする環境課題が企業の事業活動や中長期の経営戦略に及ぼす影響が強まってきたことに鑑み、新たに「サステナビリティ」パートを新設し、環境課題に関連する機会とリスクの認識や、企業理念や長期ビジョンの実現に向けたより長期的な環境戦略についてもお客さまと対話ができるよう評価体系を改定しています。

環境格付の評価体系

「環境経営」と「サステナビリティ」の2つのパートに分かれています。

「環境経営」では、環境リスクマネジメントの取り組みだけでなく、環境課題の解決と事業成長の同時実現に資するアップサイドの取り組みも伺います。具体的には、環境に配慮した経営体制や環境課題の特定等の経営全般事項、商品・サービスを通じた環境貢献や運用改善に関する取り組み等の事業関連事項、また、それらの取り組みの結果といえる主要環境側面に関するパフォーマンスデータ等に焦点を当てています。

「サステナビリティ」では、環境を軸とした長期的な価値創造の取り組みを伺います。長期的な事業継続のためのサステナビリティ経営に関して、マネジメント体制やマテリアリティ特定に加え、気候変動を始めとする重要な環境課題を踏まえた価値創造戦略や、その達成度を評価する指標(KPI)の設定等の設問にて構成されています。

評価体系は毎年見直しを行い、外部有識者(アドバイザー委員会)のご意見を伺いながら、国際的な政策動向や最新トピックスに合わせて設問の新設・統廃合を実施しています。

2023年度は、各種の環境関連テーマでの議論やサステナビリティ情報開示の動向を踏まえ、気候変動対応(Scope3算定時における一次データの使用、TCFD提言に基づくシナリオ分析結果の影響度の開示、等)、事業活動における自然資本・生物多様性との関係性把握(LEAPアプローチやSBTNを活用した分析)等に関する設問を拡充いたしました。

分野 評価項目
環境経営
  • 経営全般事項
  • A 環境マネジメント体制
  • B 環境課題の特定
  • C 情報開示とコミュニティへの参画
  • D コンプライアンス
  • 事業関連事項
  • E 環境に配慮した製品・サービス
  • F 製品・サービス拡販に向けた取り組み
  • G 製品・サービスを支える基盤
  • H サプライチェーン
  • I 環境経営上の優れた取り組み
  • パフォーマンス関連事項
  • J 地球温暖化対策
  • K 資源有効利用対策
  • L 水資源対策
  • M 有害物質対策
  • N その他
サステナビリティ
  • W サステナビリティマネジメント
  • X 長期的な環境戦略(リスク・機会の認識)
  • Y 指標と目標
  • Z その他の優れた取り組み

※対象となるお客様
国内に所在するお客様のうち、当行の定める要件に該当するお客様を対象とします。

※資金使途
原則、通常のご融資と同様であり、制約はありません。

環境格付の運用体制

環境格付主幹を中心としたメンバーにて企業の皆様や外部有識者との対話を重ね、環境格付の高度化を計っています。